「飛行機かミサイルか、上空飛ぶ影 バグダッド市内」
http://www.asahi.com/international/
update/0320/019.html
新たな戦争が始まった。
20日午前5時40分ごろ(現地時間)、バグダッド市内
に住むバス会社員の男性(25)は、
浅い眠りを大きな空襲警報の音で破られた。
遠くで発射音が聞こえる。
夜空が、耳をつんざく砲撃音で震えた。
窓から空を見ると、あちこちに光の点滅が見える。
対空砲火だろうか。
「そろそろ攻撃が起きると思っていた」
「妻と一緒にコーランを唱え祈っているところだ」
バグダッドの空が白み始めるころ、
米英軍のイラク攻撃が始まった。
朝日新聞の電話取材に対し、
イラク在住の同国人や日本人らは、
戦火が覆った街の様子を戸惑い、興奮した様子で伝えた。
郊外に家族5人で住む技術者の男性(38)は、
午前6時5分まで対空砲火の音が
聞こえた、と話した。
飛行機かミサイルか、分からない。
だが、何かがすごいスピードで見え、
シュッという空気を切る音も聞こえた。
「怖いよ。だが、3、4カ月前から備えていたことだ」
「気持ちの整理はついている」
「今日は仕事には行かない」
「今日、仕事するのは兵隊だけだ」
と言って電話は切れた。
2月からバグダッド入りし、
ジャドリア地区のホテル「フラワーズランド」に滞在
しているフリージャーナリストの
常岡浩介さん(33)によると、午前5時半すぎ、
ジェット機が飛んでくる音が聞こえた後、
「ドン、ドン」と爆発音が2回鳴り響いた。
続いて短い地響きがあった。
少し遅れて、空襲警報が鳴った。
ここ1カ月で、バスラ市内では毎日のように鳴っ
ているものの、バグダッド市内でサイレン音を聞くのは
初めてという。
さらに、イラク軍の対空砲と思われる音があちらこちらで
聞こえ始めた。
午前6時半現在、砲撃が1分続いて、
15分やみ、また再開される、
といった状態が繰り返されている。
同じホテルに滞在しているアラブイスラーム
文化協会代表の高橋千代さん(62)
=東京都杉並区=は朝日新聞に電話してきた。
「ついに始まりました。
『ドーン、ドーン、ドーン』と大きい音がして、
地響きがした。
震度2ぐらいの揺れを感じた。
対空砲火らしい音も聞こえた」
話しはじめて数分後、高橋さんは
「あっ、また始まりました」
「今、やってます。聞
こえますか」
と声を張り上げた。
電話口を通して、「ドーン、ドーン」という乾いた
音が、断続的に十数回聞きとれた。
市内のホテル「バビロン」の従業員は
「朝6時ごろにバグダッド周辺で爆発音が4、
5回したが、今は静かになって、
道路には人や車が動き始めている。爆発音は市民が
まだ寝ている時間だった。けが人が出たとは聞いていない」
と落ち着いた様子で話した。
現地で外国人のガイドをしている男性は
「爆撃の音がして、空がひどく煙っている。
人々は窓辺で空を見上げ、祈っている」
と声を震わせた。
「どんなことがあっても、ここを離れず、
バグダッドで死ぬつもりだ」
「私たちはだ
れの助けもいらない」
「米国も、日本も、米国に協力している国すべてが憎い」
住宅街にあるレストランにいた男性従業員の
アッバースさんは空爆の音を聞いて、
店内にあるテレビを大急ぎでつけた。
複数のテレビ局があるが、どれも歌番組を流し
ておりニュースはしていなかったという。
国際電話の取材に対してアッバースさんは
「私たちより、
あなたたちの方がニュースを持っているじゃないか」
といらだった様子だった。
市中心部にあるセントラファエル病院の医師は
「けが人がたくさん運ばれてきてい
る。忙しくて今は話せない」
と電話を切った。
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