太陽の返事
マムシと云えば、私が高校生の頃、
学校の夏期実習で、学校の山の草刈りにいったことを思い出します。
学校の山林には先輩達が植えた森林がありました。
後輩達が代々、その山林を育ててきていました。
育った木材を売って教材の足しにするためです。
その山はおよそ20年まえの先輩達が植林したものでした。
きっと、わたしたちが植えたあの山の木たちも今は後輩達のために大木に
成長しているでしょう。
このようにして、営々と代々の人々に受け継がれて育っていく仕事
をするのもよいものです。
60年前の先輩のしてくれた仕事の成果を、今、受け取るのです。
60年後の後輩のために、今、また植林をする。
今の成果を今要求するのではありません。
自分が死んだ頃の後輩がその成果を受け取る。
これにより
「悠久の時の流れ」
のようなものを学生時代に、認識できます。
それはさておき、下草を刈るには、
魔女が持つような大きな鎌を持っていきます。
そして、携帯の砥石もです。
砥石は鎌が切れなくなった時に、
山の沢に降りて研ぐのにつかいます。
自分が持つ鎌の手入れは持った人の仕事でした。
鎌は代々の後輩が使います。
そこで、丁寧に手入れをすることを要求されます。
草刈りは普通、45度程度の傾斜している山にへばりつくようにして草刈りをします。
最初、先生達から注意があります。
「鎌の取り扱いとマムシの取り扱い」
についてです。
山にへばりついているわけですから、
目の前にマムシが突然現れることもあります。
その時はそっと姿勢を立ち上げ、鎌の刃の部分でも胴体でもよいので、
上から押さえつけます。
使う鎌の柄の長さが、1.5m程度あります。
ですから、歯の部分で押さえつければ
手をかまれる心配はありません。
それから、取り押さえて捕まえるわけですが、
これは先生達の仕事になっていました。
理由は
「素人だとマムシを掴み損なう可能性が高く危険であるから」
ということになっていました。
ところが、このマムシは先生達の精力剤として、マムシ酒や蒲焼きにするためのようでした。
先生達が食べたり飲んだりするために、われわれ、
学生を脅して、取り上げていると噂されていました。
事実、マムシを鎌で押さえて、
「先生!マムシ」
と呼ぶと、先生達の目の輝きと嬉しそうな笑顔が思い出されます。
山での作業が終わり、
暗い山道を疲れてとぼとぼと山小屋へ下りていきます。
その時の澄んだ山の空気の空に見える満月の美しさ!
これはなんともいえないものでした。
しかし、今は その月も−−−−−なのです。
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